日本共産党
川崎市議会議員(川崎区)

後藤まさみ

ブログ
2024年9月25日

公契約制度の運用改善を!建設の仲間の声を届ける。

9月25日に開催された決算審査特別委員会総務分科会で5年連続した「公契約制度運用改善」について質問をしました。契約金額が6億億円以上の公共事業について職種ごとに決められた賃金(作業報酬下限額)以上の賃金を支払わなければならないとするもので、賃金を保障することで品質も担保され市民の福祉の向上につながる重要な制度です。しかし、私が以前勤めていた市内建設組合のみなさんの公契約現場前でのアンケート調査などでは「制度を知らない」「適正な賃金をもらえていない」などあってはならない声も。適正な制度の運用を求めると同時に、夏に懇談した受注側の市内建設業団体のみなさんからの労務費や設計金額が低すぎるなどのご要望も届けました。市内の建設組合はもちろん、全建総連のご意見もいただきながら質問をいたしました。

①6億円から1億円に引き下げることで効果がさらに広がる②引き下げのための課題は事務量の負担があいかわらず続いている③公契約制度は市にとって大切な制度だ④作業報酬下限額以上の賃金の支払いのために、職種が登録されたCCUSの活用を検討すべき⑤実態把握をするアンケートを行うべき⑥国の補正係数で十分なのか調査や検証を行うことも含め「入札契約制度・発注等検討委員会、発注部会」で検討すべき⑦特定業務委託契約の作業報酬下限額は1162円であまりにも低い。1500円は必要。

など質問によって明らかにされたこともたくさんありました。引き続き粘り強く建設業のみなさんの声を議会でぶつけ改善に向けてがんばります。

※正式な議事録でないことをご了承ください

施行13年になる公契約制度の運用改善についてです。

質問1

対象となる特定工事請負契約の範囲は予定価格6億円以上です。2023年度の対象件数、対象金額、本市の契約金額に占める割合についてうかがいます。

答弁1

公契約制度の運用状況についての御質問でございます。令和5年度の特定工事請負契約の対象件数は19件で、金額は約326億円、工事請負契約全体の金額に占める割合は、約34%でございます。

質問2

予定価格を1億円以上とした場合、2023年度の件数と金額、占める割合についてうかがいます。また、市内事業者の割合についてうかがいます。

答弁2

公契約制度の適用範囲についての御質問でございます。対象となる工事案件を仮に予定価格1億円以上として、令和5年度実績で試算いたしますと、対象件数は210件、金額は約751億円、工事請負契約全体の金額に占める割合は、約78.8%となります。また、元請けとなる市内事業者の割合は、約79.0%となります。

意見

2022年度の実績で契約金額を1億円とした場合、件数は19件から210件、金額は326億円から751億円 市内事業者の割合は約79%になるとのことで引き下げの効果はあきらかです

質問3

契約金額の引き下げ、いわゆる適用範囲の拡大について、2021年の作業報酬審議会でも、「件数や発注業種の増加」に効果があることが確認されています。引き下げの課題について「作業報酬台帳作成が事業者と市職員の事務負担が多すぎる」とのことで、昨年の決算審査特別委員会では課題解決に「事業者の入力の簡略化や市職員の審査体制の変更を行ってきた」との答弁でした。この取り組みは課題の解決につながったのかうかがいます。昨年度の取り組みついてうかがいます。また職員は何人体制で審査を行っているのかうかがいます。

答弁3

公契約制度における適用範囲の拡大についての御質問でございますが、作業報酬台帳の作成等における事務負担の軽減に向けた取組といたしましては、事業者による作業報酬下限額の入力方法の簡略化や市職員による効率的な審査体制への変更を行ったところでございますが、現在におきましても、作業報酬台帳の数が膨大であることや、職種によって下限額が異なるなど、作成や取りまとめが煩雑であり、また、作業報酬台帳の集計、審査、問合せ対応など、依然として事業者と市職員双方において多大な事務負担が残っているところでございます。

昨年度の取組といたしましては、事業者における事務負担の実態を確認するため、作業報酬台帳の作成に係る事務負担調査を行うことを決定し、今年度に入り特定工事請負契約の受注者等に対して、アンケート調査を開始したところでございます。

また、公契約制度への対応は、契約課調係で担っており、主に台帳の審査を行う職員は、繁忙時期のみ採用している会計年度任用職員1名と、審査のほか審議会の運営や事業者からの問合せ対応も行う正規職員1名がおります。

意見

依然多大な事務負担があるとのことです。事業者に事務負担の実態を確認するアンケート調査を開始したとのことですが課題解決に結び付けていくことを要望します。また、莫大な事務量を正規職員1人と会計年度任用職員1名、2名体制では限界です。職員の増員を求めます。

質問4

公契約制度が適用するすべての現場労働者は、作業報酬下限額以上の賃金がもらえていると認識しているのかうかがいます。認識しているとのことであれば現場労働者の賃金の底上げに寄与していることになります。現在公契約制度を制定していない自治体に対しても公契約制度は有効なものだと評価しているのかうかがいます。

答弁4

公契約制度についての御質問でございますが、本市の公契約制度におきましては、契約条例に基づき、受注者に本市所定の作業報酬台帳を提出していただき、契約に係る作業に従事する者への賃金の支払い状況を確認しているところでございます。また、支払われている作業報酬が下限額を下回っている場合には、労働者が、受注者に対してだけではなく、本市に対しても直接申し出ができることとなっており、制度の実効性が担保されているところでございます。

次に、本市の公契約制度につきましては、「市の事務・事業に従事する者の労働環境の整備を図る」とともに、「市の事務・事業の質を向上させ、地域経済の健全な発展を図り、もって市民の福祉の増進に寄与する」ことを目的としており、本市において必要な制度として認識しております。また、他の自治体からの問合せや視察などにも積極的に対応しているところでございます。

意見

公契約制度は本市において「労働者の処遇を担保することで、公共事業の品質の確保、地域経済の発展をはかり、市民の福祉の増進に寄与するため」必要な制度だとの答弁がありました。他都市にも影響を与えているとのことです。実効性ある運用が求められています。が

質問5

市内建設組合が行ってきた新本庁舎建設現場前聞き取り調査で、回答された約6割が「説明をうけていない」約7割が「確認書にサインをしていない」ことは昨年度も紹介しました。現在行われている労働会館改修工事現場前調査でも「知らない」と答えた労働者がいたそうです。労働者への周知徹底が足りません。

本人が職種をチェックし署名をもらう確認書の提出はすべての公契約現場で行われているのかうかがいます。徹底させるためにどのような手立てをとるのかうかがいます。

本市では2018年に「制度理解度や実効性を確認するため」にアンケートを実施し、運用改善へ生かしていました。昨年、実態確認のための調査を求めたところ、「適切な時期に実施する」との答弁でした。まず、2018年に行ったような趣旨のアンケートの必要性についてうかがいます。「適切な時期」とはいつのことなのかかうかがいます。世田谷区ではホームページのほかSNSでも制度の発信をしています。本市もSNSの発信など周知の仕方を広げていくべきですがうかがいます。

答弁5

公契約制度の運用についての御質問でございますが、特定工事請負契約におきましては、公契約制度の周知方法や作業報酬台帳の作成方法について、市から直接受注者に対して丁寧に説明をしているところでございます。

説明の際には、下請業者等を通じて全ての作業員に対しそれぞれの職種と作業報酬下限額を周知することを依頼するとともに、作業員が市作成の周知用チラシを受け取ったことを確認する書面、いわゆる確認書の提出をお願いしているところでございますので、引き続き確認書の提出について協力を依頼してまいります。

次に、事業者や労働者における状況を把握するためのアンケート調査につきましては、今年度に実施しております作業報酬台帳の作成に係る事務負担調査の取りまとめ結果等を踏まえて、適切な時期に実施してまいります。

次に、周知方法につきましては、各自治体の状況に応じて様々な取組がありますので、本市にとってどのような手法が効果的なのか、今後研究してまいります。

意見

制度周知について受注者へ説明をしているとの答弁ですが、現場前の調査では知らない、理解できていないとの声も実際あるわけです。元請けに対し下請まで行き届くように指導を行うとともに、アンケート調査については今事業者に行っている調査結果を踏まえてとのことですが早急に実態を把握し対策をたてるよう要望します。

質問6

作業報酬下限額以上の支払いについてです。市内建設組合による新本庁舎前の調査では、経験15年の鉄骨工の方で「条例23,392円が15,000円しかもらえていない」条例の説明なし、確認書もサインしていませんでした。労働会館改修工事現場前調査でも解体工の方が「もらえていない」との話です。

これまで作業台帳で確認されているから適正だとの答弁が繰り返されていますがそもそも、台帳にその労働者の適正な職種が入力されていなければ実効性は失います。

そこで求めてきたのが、労働者の職種など保有資格などが登録された建設キャリアアップシステム(CCUS)の活用です。昨年は「「職種」の確認などに活用できる可能性」があると有効性について認める答弁がありました。課題として受注者からの提供方法や本市の確認手法等の検証が必要とされるとしていましたが、その後の検証は行ったのか、状況についてうかがいます。

答弁6

建設キャリアアップシステム(CCUS)についての御質問でございますが、公契約制度においてCCUSを活用することの課題といたしましては、受注者からの提供方法や本市の確認手法等の検証が必要とされることから、 CCUSの普及状況を踏まえつつ、他都市における事例調査など、引き続き検討を進めてまいります。

意見

CCUS活用の検討に進展がないことがわかりました。国は、公共工事の全国の現場でCCUSモデル工事を推進しており、登録者は8月末で累計約150万人を超え、ほとんどの大手ゼネコンでは導入が進んでいます。建設労働者の処遇改善のため今後さらに普及されていく制度です。CCUSを利用すれば、現場労働者の入退場や職種を確認することが容易にできるので、市職員や受注事業者の事務負担軽減につながります。他都市の事例の調査と言わず、まずは大手ゼネコンが元請けとなる公契約適用現場でモデル事業を行うなど、全国に先駆けて導入するよう求めます。

質問7

第12条では指定出資法人やPFI事業等選定事業者が行う契約も適用し市に準じていくとしています。12条に当たる事業について3月の予算審査特別委員会で「新川崎地区学校新設事業」について、対象労働者への周知や作業報酬台帳の作成などの履行状況についてこれから確認をするとのことでした。確認した結果についてうかがいます。適正に運用されているのかうかがいます。

答弁7

新川崎地区学校新設事業についての御質問でございますが、同事業は、川崎市まちづくり公社において立替施行により実施しておりまして、同事業のうち、建築、電気及び空調の3工事について、公社の規則等に基づき、下限報酬の徹底や対象労働者への制度周知、作業報酬台帳の作成などについて契約書に明記しているところでございます。

公社からは、各工事請負業者に対し、公契約制度に関するポスター掲示や、作業員への説明などを指示するとともに、施工体系図や公契約制度の確認書、作業報酬台帳の提出を義務付けた上で、公社職員において、作業報酬下限額以上の支払状況等の確認を行っていると伺っており、公契約制度が適正に運用されていることを確認したところでございます。

質問8

この6月には、建設業法、入契法、品確保の3法が一体的に改正され担い手確保、地域建設業等の維持、生産性の向上などの課題解消に向け公共工事発注者の責任が明確になりました。業界団体から「週休2日制を完全実施するにも例えば国が設定した建築土木の労務費の補正係数1.05倍では厳しい、1.3倍は必要だ」との要望が継続して出されています。担い手3法の改正を受け、こうした要望に対しどう応えていくのか伺います。

 昨年「各工事担当部局において国の基準で適正に算出している」との答弁でしたが本市は発注者としての責任が問われます。国の補正係数で十分なのか調査や検証を行うことも含め「入札契約制度・発注等検討委員会、発注部会」で検討すべきです。同部会を所管するまちづくり局へうかがいます。

答弁8

週休2日制工事についての御質問でございますが、補正係数等につきましては、建設業の担い手の確保のためにも、建築コストの高騰の動きに合わせて、可能な限り対応していくことが重要と考えておりまして、より実勢に即した予定価格となるよう、取り組んできているところでございます。

国の補正係数につきましては、毎年度、本市発注の工事を含めて実態調査を行い、適切に算出されているものと考えておりまして、今年度の改定においては、労務単価が引き上げられた一方、補正係数が引き下げられているものとなっているものでございます。

今後につきましては、週休2日制工事を含む担い手確保策等に係る新たな動きなど、国や他都市の動向等を注視するとともに、その状況を「入札契約制度・発注等検討委員会発注部会」において、情報共有してまいりたいと考えております。

意見

補正係数は国だとのことですが地域建設業の維持、品質の確保にむけ、週休二日制実施を前提とした労務費、資材や燃料費高騰など実情をしっかり把握し、発注者の責任をもって、見合った価格設定を行うよう要望します。

質問9

2023年度/特定業務委託契約の作業報酬下限額が適用されている件数と従事者の人数を、特定業務委託契約と指定管理者別にうかがいます。

答弁9

特定業務委託契約についての御質問でございますが、特定業務委託契約の対象は、契約条例及び契約規則に基づき、予定価格1,000万円以上で、機械警備を除く警備、建物清掃、屋外清掃などの6業種が対象でございます。現時点の集計では、令和5年度契約における特定業務委託契約の件数は、 344件、月ごとに作成される作業報酬台帳に記載の従事労働者数は、延べ25,433人となっております。

また、指定管理者制度におきましては、業務内容にかかわらず、指定管理者との協定の全てが対象でございまして、対象となる件数は、現時点の集計では195件、従事労働者数は延べ55,854人となっております。

質問10

4月からの作業報酬下限額は1162円です。

特に質の向上のためにも有資格や専門性に見合った賃金保障を求めてきました。実態把握のための調査を求めたところ「作業報酬台帳では、有資格、専門性などに関する情報記載を求めていない」との答弁でした。

学校給食調理、学校消防設備保守点検、学校防火設備点検など業務委託の仕様書には資格のある方が従事するとしています。例えば、給食は「正社員3名以上含む。正社員は調理師又は栄養士の資格を有する、業務責任者は正社員から選出、調理士の資格を有し、公立学校調理業務経験が単独調理校で3年以上あるものとする」と細かい指定があります。契約締結後に書面で有資格の確認をするとのことです。

これまで、調べる手立てがないなどとして調査を拒んできましたが、仕様書などの資料を活用して有資格者、専門性を持った方がどれくらいいるの、登録された有資格者がいくらの時給か台帳で付け合わせることは可能です。契約後定期的に有資格者が仕様書通りに配置されているのか、専門性に見合った賃金が支払われているかなど実態調査を行うべきです。うかがいます。

答弁10

特定業務委託契約の運用についての御質問でございますが、各発注部局において、仕様書で有資格者の配置等を定めている場合には、その状況について確認することは必要であると考えております。

一方、事業者から提出された作業報酬台帳につきましては、公契約制度の趣旨から、従事する労働者の経験や能力、保有する資格を確認するものではないため、個別の賃金支払いの実態をあらためて把握することは、作業量的にも困難であると考えております。

なお、特定業務委託契約においては、延べ従事労働者数、平均作業報酬額、最低作業報酬額について、毎年度集計し、賃金支払い動向につきまして、把握しております。

意見

有資格者の状況について確認することは必要だとの答弁がありましたので専門性に見合った支払いがされているのかなど実態調査を行うよう要望します。 特定業務委託契約、指定管理の労働者延べ81287人は、2024年度からの時給は1,162円です。1日8時間1か月22日働いたとしても約20万円、年収230万円程度です。まさに、官製ワーキングプアと言われる働き方に追い込まれます。市民サービスに直結した公の業務を民間にゆだねていくこと自体問題であることも指摘し、最低でも時給1500円の引き上げを求め質問を終わります。


新着情報

高齢者、障害者など投票率向上に向けた取組みについて質問
ブログ
高齢者、障害者など投票率向上に向けた取組みについて質問
公契約制度の運用改善を!建設の仲間の声を届ける。
ブログ
公契約制度の運用改善を!建設の仲間の声を届ける。
医療的ケア児等要援護者の防災訓練とジェンダーの視点に立った防災対策を!
ブログ
医療的ケア児等要援護者の防災訓練とジェンダーの視点に立っ...

過去記事一覧

PAGE TOP