12月議会一般質問 羽田新飛行ルート運行の中止について その1
2020年3月国は「国際競争力を強化するため」「オリンピックのため」などの理由で増便するために、南風時午後3時から7時までの3時間、これまで海から入って海から出ていくルートをやめ、羽田空港から離陸した航空機が多摩川対岸の川崎区住宅街、石油コンビナート地帯上空を低空飛行するルートを強行しました。
1960年代に航空機事故が相次ぐ中、市民の運動と川崎市議会が全会一致で臨海工業地帯上空での即刻飛行禁止を求めて意見書を上げ当時の市長も一体となって運動を起こした結果、1970年に東京航空局長は原則として「川崎石油コンビナート上空は飛行しない」旨の通知を発出しました。
通知は守られ50年間安全で静かな空が守られてきました。
ところが、市民や議会にも説明がなく福田市長が通知の廃止を認め、2020年3月から新ルートでの運行が始まりました。
川崎では80㏈、90㏈にもなる騒音被害、また世界でも類を見ない石油コンビナート地帯上空を低空飛行する危険なルートです。私たちは一貫して新飛行ルート中止をするように求めてきました。
私は新飛行ルートから2つ離れた駅の地域に住んでしますが、飛行機が飛び出すと「3時だ」と時間がわかるくらいの騒音がします。直下にお住まいの方はどれだけ苦しめられているか・・議員になる前から、地域のみなさんと一緒に中止を求めて取り組んできました。
この12月議会では私の公約のひとつでもあるこの問題について持ち時間30分のうち20分近くかけて質問を行いました。
「その1」の質問では、石油コンビナート地帯で航空機等の大規模災害が起きたらどのような被害になるのか「臨海部防災対策計画」ではどのよう災害の想定をされていてどのような避難をするのかなど答えてもらいました。
しかし、大規模災害になることが明らかにされたのに、住民にまったく知らせていないこと、臨海部防災対策計画では「津波ハザードマップ」を作成し周知や個別計画を立てるように促しているのに航空機災害のハザードマップもなし、また市が作っている臨海部の防災対策パンフレットには事故があったそのあとに避難場所などをアプリやメールなどで知らせるとだけしか書かれていないなどを明らかにしました。
万が一の事故があった場合どのように避難するか・・いまのままの対策では大混乱になることは目に見えて明らかにです。
さらに「臨海部防災対策計画」では大規模災害災害が起きたときに電話などでの避難勧告や指示の伝達、住民の避難誘導を自主防災組織や町内会長などが行うとされているのに、まったく知らせていないことも明らかになりました。
そもそも、被害想定や避難対策はどの計画に基づいて行われるのかとの質問2に対し、「川崎臨海部防災対策計画」だと答えていますが、このもとになる神奈川県のアセスメント調査は地震を想定したものであり、航空機事故のアセスメント調査も行わずに2020年3月に「第3部 第2章 第6節に航空機事故における事故の防止 という項目を付け加えたものにしかすぎません。
航空機事故が起きたときの被害想定や避難対策もなく、事象が異なる地震での想定でお茶を濁そうとしている答弁から、矛盾点も露呈しました。
「その2」では騒音被害を掲載します。合わせてお読みいただけたらと思います。
東京都内などの住民のみなさんは着陸による騒音や危険にさらされています。万が一の墜落事故や落下物が起きたら大変のことになるためにまったなしの問題です。川崎市のみなさん、石油コンビナート労働者、そして首都圏のみなさんと力を合わせ、必ず中止をさせるまで取り組んでいきます。
【質問1】
2020年3月に羽田から離陸し住宅街と石油コンビナート上空への低空飛行が開始され3年9か月を過ぎようとしています。
始めに航空機災害警防活動指針には、航空機災害の特異性として、火災の特徴、火災の拡大性、災害の広域性はどのように示されているのか、うかがいます。またコンビナート区域で航空機事故が起こった場合どのような危険があると示されているのか。消防局長にうかがいます。
【答弁1】
航空機災害についての御質問でございますが、航空機につきましては、飛行に多くの燃料等が必要とされており、事故により機体が損傷した場合は、電気回路のショートの火花等により引火し、周囲に可燃物がある場合には延焼拡大することや、発生場所によっては、多数の人的・物的被害が発生する可能性があるところでございます。
また、石油コンビナート等特別防災区域において、危険物貯蔵施設に関連した事故が発生した場合には、複合的な災害に発展する可能性が高いところでございます。
【質問2】
では、羽田新飛行ルート運航中の航空機が石油コンビナート上空で万が一の事故や落下物があった場合の災害想定、応急活動体制、避難対策などはどの計画に基づいて行われるのかうかがいます
【答弁2】
航空機災害に関する計画についての御質問でございますが、神奈川県石油コンビナート等防災計画を所管する県は、石油コンビナート等防災アセスメント調査の内容を災害想定としており、本市の災害想定や避難対策などにつきましては、これらに基づく「川崎市臨海部防災対策計画」によって行うものと考えております。
【質問3】
先ほど消防局長から、石油コンビナート区域で航空機事故があった場合、複合的な災害になることの答弁がありました。川崎市臨海部防災対策計画には、航空機事故等最大級の大規模災害、例えば水江町の高圧プロパンガスタンクが昼間に爆発したときの、災害影響範囲、避難対象地域、最大避難者数、避難先留意事項、避難場所についてどのように示されているのか。うかがいます。
【答弁3】
川崎市臨海部防災対策計画についての御質問でございますが、本計画におきましては、地震、津波などのほか、大規模災害の場合の被害についても想定しており、それに対する避難計画として、臨海部のエリアや施設の種類ごとに、域外避難や屋内避難が想定される地域を記載しております。
そのなかのーつである水江町の高圧ガスタンクの爆発的蒸発現象の場合では、域外避難の影響範囲が1001mであり、対象地区は、千鳥町、東扇島、水江町、夜光3丁目、屋内避難は5198mであり、対象地区を除く川崎区全域及び幸区の一部となっております。
また、想定される最大避難者数は、昼間の場合で域外避難が1万3085人、屋内避難が26万8544人であり、避難先は、川崎区内の広域避難場所及びほぼすべての指定避難所となっております。
避難の留意点といたしましては、域外避難の場合は、原則は徒歩によるものの、災害発生施設周辺は車両等により迅速に移動すること、屋内避難の場合は、できる限り頑強な建物内に避難することなど、としております
【質問4】
最大級の大規模災害の場合、区内のあらゆる地域に爆風・飛散物・ファイヤーボールの災害発生の影響があるので、石油コンビナート地帯の労働者約1万3000人は域外避難、川崎区全域と幸区の一部、約27万人は頑丈な建物に避難することが示されているとの答弁でした。こうした大災害が起きることを市民のみなさんにどのようにして知らせているのか、うかがいます。
臨海部防災対策計画では「津波ハザードマップ」の作成活用により、被害軽減の地域ごとの避難計画の策定や防災を意識したリスクコミュニケーションを円滑に行うことが可能となるとしています。航空機事故等による大規模災害の場合のハザードマップはなぜないのか、うかがいます。作成すべきではないでしょうか、うかがいます。
【答弁4】
臨海部防災に関する周知についての御質問でございますが、川崎市臨海部防災対策計画の改定にあたり、パブリックコメントを行ったほか、共同防災協議会等の皆様にご説明した経過がございます。
災害のハザードマップにつきましては、災害の種類や地域の特性などに応じて作成するものでございますが、石油コンビナート等の災害につきましては、水害などとは異なり、作成の手引きなどが国から示されておらず、本市独自で作成することについては、慎重な検討を要するものと考えております。
【質問5】
市民に知らせているのかとの質問に対し、「防災対策計画の改定時にパブコメを行った」との答弁でした。住民には、パブコメを行った時以降、まったく知らせていないということです。
では、臨海部防災対策計画の避難勧告・指示の伝達方法や避難誘導の項目では、自主防災組織、消防団、町内会長や地域住民等はどのような方を対象に、どのような支援を行うとしているのか、うかがいます。
【答弁5】
臨海部防災における避難支援についての御質問でございますが、災害の種別や発災場所等によって、避難のあり方が異なりますが、川崎市臨海部防災対策計画におきましては、人身の安全を最優先に、可能な場合に、避難指示の伝達手段のーつとして自主防災組織、町内会長等による電話等を、避難誘導については、消防職員、区職員、警察官、自主防災組織などが、住民等の誘導を、災害時要援護者の避難については、登録している支援者が情報の伝達等の支援を、それぞれ行っていただくことがあることを記載しております。
【質問6】
住民等を対象に、自主防災組織、町内会長等は電話等での避難指示、避難誘導は自主防災組織など、災害時要援護者の避難は登録している市民の方が支援を行うとの答弁です。
昨年6月の代表質問で避難計画やリスクなど周知すべきと求めたところ、2020年3月川崎区防災組織連絡協議会、川崎区避難所運営会議全体会などで説明を行ったとのことでした。ではその際、航空機事故による大規模災害が起きたとき、川崎区全域など広範な地域に被害が及ぶことや自主防災組織、町内会長等が支援の役割があることなど説明しているのか、うかがいます。
市が作成したパンフレット「川崎臨海部の防災対策」では、避難が必要になった場合の市の対応として、「メールやアプリなどで避難対象地域や避難先を知らせる」「避難対象地域や避難先は事故や天候の状況で総合的に考慮して判断する」、大規模災害が起きているのにたったこれだけの内容で避難ができると考えているのか伺います。
「津波ハザードマップ」と同じように大爆発やファイヤーボールによる放射熱など被害の内容や避難対象、避難場所など盛り込み改訂し、市民に周知すべきです。うかがいます。
【答弁6】
臨海部防災における避難等の周知についての御質問でございますが、川崎市臨海部防災対策計画の修正に合わせて行った、川崎区自主防災組織連絡協議会総会、川崎区避難所運営会議全体会等では、計画の変更点についてのみで、自主防災組織等の役割として記載している指示伝達や避難誘導についての説明はしておりません。
また、川崎臨海部の防災対策パンフレット、情報を入手するためのツールとして代表的なものを記載しておりますが、実際の災害発生時には、あらゆる手段を用いて迅速に避難指示などを情報発信するものと考えております。
避難が必要になった場合の対策につきましては、被害状況に基づいた避難がなされるために、身の安全と冷静な行動が求められますので、引き続き機会をとらえた周知に努めてまいりたいと存じます。
【意見】
市が作成したパンフレットの内容だけでどのように避難ができるのか質問に、災害が起こった後の事後対応で「情報発信する」「被害状況にもとづいて避難する」という答弁でした。
臨海部防災対策計画で自主防災組織が避難誘導すると定めているのに「説明はしていない」と答弁。最大級の災害の場合に被害が拡大する範囲もハザードマップなどで示すこともしない。必要な事前の情報もなしに自主防災組織や町内会長が「身の安全と冷静な行動」ができるというのでしょうか。町内会長から「国や市からきちんとした説明がない」との声も届いています。
そもそもこの計画にある被害想定等は羽田新飛行ルート運行前に策定されたもので地震の被害が対象です。県や国に対し石油コンビナートでの航空機事故のアセスメント調査を要請し、それをもとにした計画を策定すること、被害想定、対象、避難場所等示したハザードマップの作成、パンフレットの改定等を行うとともに、教室型の住民説明会を開催し広く周知するよう強く要望します。
その2に続く・・・