福祉の施策の抑制、住民サービス後回しの計画は改めるべき!川崎市総合計画 第3期実施計画・素案に対しパブリックコメントでご意見を!
11月に3期目の再選をした福田市長は2022年度から4年間を期間とする「川崎市総合計画第3期実施計画・素案」「行財政改革プログラム素案」を出しました。
12月議会でも私たちはこの計画について問題点を指摘し、福祉を充実させるための計画にするように求めました。
人口減少、少子高齢化、厳し財政環境などを前提として行財政改革、資産マネジメントを推進するとの計画です。しかし、川崎市は今後9年間人口が増加し今の人口より減少するのは30年後、現役世代の比率も政令市との比較では高い都市です。また、財政力も政令市でトップ。市が前提としている理由は当てはまらず、豊かな財政力を活用して、人口増加に対して公的施設やサービスをどう充実させるのかを計画に盛り込むべきです。
行革には、高齢者外出乗車事業、重度障害者医療費助成制度、高齢者への市単独事業、成人ぜん息患者医療費助成制度など高齢者、障害者、医療を受ける方にとってなくてはならない事業が対象となっているのは大問題です。どれひとつとっても削減どころか、充実すべき事業です。また、少子化が問題と言いながら、小児医療費助成制度は小学校6年生までで所得制限もあり、4年生からは一部負担金の県内でワーストワン。認可保育園の整備など、子育て施策は遅れたままです。
そして、これ以上公共施設は増やさないとしていますが、例えば入りたくて待っている方がたくさんいる平均倍率19倍の市営住宅もこのままで我慢しろというのでしょうか。
自治体の役割は「福祉の増進」です。川崎市は人口増加にどう対応していくのか、福祉をどう増進させるのか、福祉充実の計画に改めるべきです。
12月18日(土)中原区役所で開催された市民説明会に参加をしました。莫大な量の計画に対し市長の説明会がこの日1回限り。参加者からせめて行政区ごとに開催し丁寧に意見を聞くべきだとの指摘がありました。
参加者からは、市内7割のCO2排出をしている臨海部の企業に対しどう削減の計画や目標を持つのか、小児医療費助成制度を中3まで引き上げて「安心して子育てできる環境をつくる」ことがなぜできないのか、学校司書など適正に配置すべき、学校プールはなくさないで、身近な公園を増やし質を改善させて、多文化共生事業の拠点づくりを進めて・・など貴重な意見がたくさん出されました。
私が特に驚いたのは、小児医療費助成制度の引き上げについて市長は「子育ての政策は小児医療費助成制度だけでない。限られた財源の中でどこに効率的に使うのか」と回答したことでした。引き上げる気がないことが確認された酷い回答でした。
私たちは引き続きみなさんの切実な声を届け、計画を改めるよう頑張っていきます。
川崎市は12月27日までパブリックコメントで、みなさんからの意見を募集しています。ぜひみなさんの声を直接川崎市に届けてください。いまこそ福祉充実しみなさんが安心して暮らしていくことが求められています。
以下は12月15日に私が日本共産党を代表して行った討論の「川崎市総合計画」「行財政改革」の部分を抜粋しました(議事録ではありません)。ぜひご参照ください。
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最初に市長の「市政への考え方」及び行政報告についてです。
川崎市総合計画、行財政改革についてです。
代表質問では、計画が実態とあっているのか、市民の要求にこたえたものになっているのかという観点から質問しました。この質疑を通していくつかの問題点が明らかになりました。
第1の問題点は、総合計画は間違った前提に立って立案されているということです。総合計画では、人口減少、「厳しい財政環境」、扶助費の増大などを前提として行財政改革、資産マネジメントを推進するとしています。人口減少についてですが、本市の人口は、今後9年間増え続け、今の人口よりも減少するのは30年後です。政令市の中で最も人口増加率が高く、そういう中で公的施設やサービスが追い付いていないのが現状です。本市の今後10年間の課題は、人口減少ではなく人口増加に対応して公的施設やサービスをどう充実させていくのかです。
財政問題についてですが、収支不足と減債基金からの借入や市税収入の減少を理由に「財政は厳しい」としています。しかし、20年度決算では収支はプラスとなり、減債基金も他の政令市と比べて実質残高は500億円以上も多く、政令市で最も財政力がある都市が川崎市です。収支フレームについても、コロナの影響が最も大きかった昨年度が収支はプラスなのに今年度の収支がマイナス286億円となっており、それをベースに作っています。この収支フレームは信頼性があるとはとても言えません。市税収入にしても、人口は今後9年間増加し、生産年齢人口比率は政令市で最も高く、市民一人当たりの市民税も最も高いのが川崎市です。財政が厳しいという根拠は一つもありません。
扶助費の増大についてですが、扶助費、社会保障費の市の負担分は増えていません。しかも市民一人当たりの扶助費の額は政令市の平均以下のままです。このように総合計画での行財政改革、資産マネジメントを推進する根拠、人口減少、財政問題、扶助費の増大という前提は完全に崩れています。
第2の問題点は、行財政改革の真の狙いは、福祉施策の抑制だということです。行革の対象として、高齢者外出支援乗車事業、高齢者への市単独事業、障害者施設運営費補助、重度障害者医療費助成制度、成人喘息患者医療費助成制度などが見直し・削減の対象になっています。「必要性や将来性を見据えた」見直しを進めるという答弁ですが、これらの事業は必要性がないどころか高齢者、障がい者、医療を受ける方たちにとってはなくてはならない事業です。どれ一つをとっても削減どころか充実すべき事業です。特に少子化が問題と言いながら、小児医療費助成制度、認可保育園の整備など子育て施策は遅れたまま。高齢化が問題と言いながら特養ホームは増設せず、高齢者施策の多くを行革の対象とするなど、言っていることとやっていることは全く逆です。その一方で必要性が明確ではない不要不急の大規模事業については推進する方向です。まさに行革の真の狙いは、福祉施策の抑制です。
地方自治の本旨は「福祉の増進」です。そして市の課題は、人口増加にどう対応するのか、福祉をどう増進するのかです。人口減少、財政問題、社会保障費の増大という理由は撤回し、福祉を抑制する計画を抜本的に改め、人口増加に対応した福祉充実の計画に改めることを求めておきます。
資産マネジメントについてです。
「資産マネジメント第3期実施方針」素案では、人口減少、厳しい財政環境を見据えた公共施設の最適化を進めるとしています。しかし、総合計画について述べたように、人口減少、財政環境の前提が崩れています。財政が厳しいからと言って市民の財産である資産を売却したり、人口が減少するという理由で公共施設を減らすということは許されません。
今後の戦略として、「施設の長寿命化」、「資産保有の最適化」、「財産の有効活用」を挙げています。「施設の長寿命化」についてですが、例えば、市の橋梁は610本ありますが、そのうち築60年以上の橋が41本、修繕・予防保全が必要な橋が334本も残されています。一方、多摩川スカイブリッジや臨港道路東扇島水江町線など不要不急の橋梁は最優先で整備されています。優先順位が間違っています。
「資産保有の最適化」についてですが、「今後人口が減少するので公共施設は増やさない」という答弁でした。しかし、今よりも人口が減るのは30年後です。不足のまま30年間我慢しろというのでしょうか。「市民一人当たり公共建築物床面積」では政令市の中で下から4番目と、川崎市は一人当たりの公共施設面積が最も少ない都市の一つです。市営住宅にしても応募の平均倍率は19倍にもなっており、5年前と比べても倍率は跳ね上がっています。このような状況でも市営住宅の戸数を増やさないことは許されません。公的な施設は、今後人口増加によりさらにニーズは高まります。「変化する社会的ニーズに的確に対応する」というのであれば、公的施設は増設すべきです。
「財産の有効活用」についてです。方針では「行政目的が達成された場合、公有財産等の未利用部分の売却を実施する」としています。質疑では高津区の市営四方の嶺住宅跡地や動物愛護センター跡地の事例を上げましたが、この間、市民からの強い要望があるにもかかわらず、市の土地を民間に売却する事例が相次いでいます。公有地は市民の財産です。市民が必要だと言っているのに売却することは許されません。方針でも「地域課題や地域ニーズを勘案する」といっていますが、今後、この事例のように市民ニーズや地元住民の要望も聞かずに民間に売却すべきではありません。